医学部受験コラム MEDICAL COLUMN

受験対策

医学部受験「小論文」何が見極められているのか?

2019.11.15

亀井 孝祥
医学部受験予備校メディカ代表

何十倍もの競争率になる医学部受験。実は、小論文で合否が決まることも珍しくありません。こと理系を志す人は、小論文をはじめとした文系科目が得意でないことが多いですよね。しかし、攻略のための「思考法」を理解し、練習しておけば、作文が苦手な人も十分対策は可能です。本記事ではそのテクニックについて紹介していきます。

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「何を答えて欲しいのか」をまず理解する

小論文試験の位置づけは、大学ごとに様々です。

試験科目の1つとして出題してくる大学もあれば、人物評価のため、面接の補足材料のような意味合いで出題する大学もあります。前者は国公立に多く、なかには前期試験でも450点中150点(群馬大学)のように、高い配点を設定している大学も。後者のパターンは私立大学でよく見られます。5段階で評価をしたり、1次試験で志望動機を書かせ、2次試験での判定に利用したりすることがあります。

出題形式は、資料や課題文に目を通し、それを踏まえて意見を書くものや、「〜について意見を書け」のように、ごくシンプルな質問のみ出されるタイプが一般的です。簡単な質問形式は通常「一行題」と呼ばれ、分量は1〜2時間程度で600〜800字、多い場合は1200字程度まで書くことが求められます。

いずれにせよ、忘れてはならないのは「これは試験なんだ」という意識です。「自分の意見を書きなさい」とあると、何を書いてもよいように受け取る人もいるのですが、そうではありません。出題者の意図を汲み、「何を答えて欲しいのか」を理解し、それに応答した作文にする必要があるのです。

問題は「エネルギー政策について述べなさい」「愛国心についてあなたの意見を書きなさい」「生命の尊厳についてどう思うか」など、社会、思想、医療などさまざまテーマから出題されます。このような問いかけに対し、文章を通してきちんと返事をする、という姿勢が重要です。

作文が苦手な受験生は、多くの場合この意識が足りていません。自分は、出題者と問題を通してコミュニケーションをしている、という想像ができていないのです。そういう作文は、出題者が期待した「書くべきこと」が記されていないため、「質問に答えていない」という評価になってしまいます。

小論文攻略のコツは「小さな問いを立てる」こと

では、出題者への応答として「書くべきこと」を正しく論述するには、どうすればよいのでしょうか。ひとつ、確実な構成法があります。以下に説明します。

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導入1 テーマや課題文を要約する
導入2 テーマに対して、自分なりの小さな問いを立てる

本論1 問いについて意見を述べる
本論2 意見について根拠を述べる

結論 導入2の問いに対する答えを確認する
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「導入1」では、まず、聞かれている内容を要約します。課題文があったら、その内容を踏まえることも必要です。「私は、あなたの質問を理解しています。それについての私の意見を以下に書きます」と、いわば相手の問いを復唱するわけです。

そして「導入2」で、テーマについて、自分なりの小さな問いを考えます。

仮に、問題が「生命の尊厳についてあなたの考えを書きなさい」だとしましょう。これだけでは漠然としていて、意見を展開できません。そこで、このようなテーマを選んだ出題者の意図を想像し、自分なりの問いを設定するのです。

たとえば、「なぜ生命の尊厳は尊重されなければならないのだろうか」という問いを立てるのもいいでしょう。2つか3つくらいは理由をあげて、その根拠を書いていくことは、何とかできそうな気がしますね。

あるいは、「いかにすれば、生命の尊厳が軽視されない社会になるだろうか」と考える方法もあります。これも何か事例に触れながら、その方法と理由について論じることは可能ですね。

要するに、テーマにまつわる「なぜ〜/どうして〜か(why)」または「いかに〜/どのようにしたら〜か(how)」の問いを自分で設定すること。それが小論文に対応するカギなのです。そして本論を終えたら、最後に自分の意見を改めて要約すれば、完成です。

このように、小さな問いを立てるやり方を知っておくと、一見手のつけようもない問題でも、なんとか手がかりを見つけることができます。

たとえば順天堂大学では、絵や写真に対して「この写真(絵)についてどう思うか書きなさい」といった問題を出されることがあります。それは風景であったり、人が何かをしている状況だったりするのですが、「なぜこの絵では〜だろうか」「どうしてこの人は〜しているのか」といった問いを立てられれば、そこをきっかけに文章を広げていくことが可能です。

受験までに15本! 半年〜1年あれば「ダメパターン」は修正できる

小論文は1つの「型」を身につければよいだけなので、練習としては、本番までに20本程度、さまざまなテーマで書いておけば十分といえるでしょう。作文が苦手な人は、正しい構成を意識して書いたことがないだけの場合も多く、2、3本しっかり書くと、すぐにコツを掴み、見違えるように上達する人もいます。

つまり、1年かけて対策するなら、前半は月に1本のペースで書き、後半に少しずつ量を増やしていけばよいことになります。20本も書いておくと、小論文で出題されやすいテーマも分かってくるので、日常でも、身の回りの情報に対する感度が高くなっていきます。

注意したいのは、導入の“つかみ”に工夫を凝らしたり、尖った意見を述べようとしたりする必要はない、ということです。

特に、医学部受験の小論文では、自身の個性を必要以上に出すよりも、「医師らしさ」を意識したほうがよいでしょう。大学側が小論文を課すのは、ほかの課目よりも対策がしづらく、その分、受験生の素の力量を見るチャンスだからです。つまり受験生としては、奇をてらうのではなく、小論文を通して「医師に相応しい論述能力」を示すことが重要なのです。

どのようなテーマでも、上記の構成を踏まえて作文しておくことで、コミュニケーション力、論理構成力、モラル、道徳観などを、誤解なく採点者に示していけるでしょう。

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