医学部受験コラム MEDICAL COLUMN

受験対策

「医学部を一度諦めた…」それでも、もう一度医師を志すワケ

2020.02.10

亀井 孝祥
医学部受験予備校メディカ代表

現役合格が叶わず、第一志望以外の医学部や他学部にとりあえず進学し、次年度の合格を目指し受験勉強を続ける「仮面浪人」。医学部以外の大学や専門学校を卒業後、一度社会に出てから改めて医学部の受験勉強を始める「再受験生」。近年はさまざまな立場から医学部入試にチャレンジする人が増えています。

どちらも他分野の勉強や仕事と並行して受験することになるので、学習スケジュールの組み立てとモチベーション維持ができないと続けられません。仮面浪人や再受験生に明るい未来はあるのか? 先輩たちが体験した2つのケースから検証していきます。

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薬学部に通いながら国立大医学部合格を目指した「仮面浪人」のケース

第一志望の国立大医学部に不合格となってしまったため、滑り止めで受かっていた私立大の薬学部へ進学することを決めたAさん。4月、進学した大学の入学式に出て改めて「第一志望の医学部に落ちた」という実感が強まり、春なのにまったくウキウキした気分になれません。とはいえ、新学期でお祭りのように盛り上がるキャンパス内は楽しそうです。サークルの勧誘もたくさん受け、誘われるまま、成り行きでスポーツ系のサークルに入ることにしました。サークルに入ることで友達ができ、「こんな大学生活も悪くないな」と思いはじめました。

しかし第一志望の国立大医学部への思いは消えていません。そこでAさんは、大学に通いながら並行して受験勉強を再開する決意をしました。これが「仮面浪人」のはじまりです。昼間は大学へ行き、サークル活動にも参加します。そして夜帰宅してから、昨年まで使っていた問題集を再び開き、前回の受験で間違えた問題や、復習が足りなかった分野を中心に学習していく日々が続きました。

夏休みが近付く頃には、大学での勉強が無意味に思えてきました。「薬剤師になりたいわけでもないのに、ここで学ぶ意味はあるのだろうか?」。一人で悩みを抱えているのがつらいので、サークルの友人に仮面浪人していることを打ち明けてみました。友人は今の大学生活に満足しており、「なぜ受け直す必要があるの?」と冷ややかな反応だったので、少し孤独を感じました。

親に相談して、夏期講習から医学部受験予備校に通わせてもらうことになりました。ただし、「授業料の一部を自分で捻出すること」が条件といわれ、平日の放課後と土日は予備校に通い、空いた時間にアルバイトをすることにしました。

いろいろと忙しくなったため、サークルはやめました。共感できる仲間がいないことが分かったので未練はありません。ただ、ほかの大学生はサークルや飲み会など楽しそうに過ごしているのに、なぜ自分だけこんなに勉強しているんだろう?という気持ちに苛まれることはありました。

年末にはバイトを辞め、受験の追い込みに集中しましたが、結果は思わしくありませんでした。第一志望の国立大医学部は不合格。また滑り止めの私立大ですが、今度は医学部に合格したので、薬学部は中退し、そちらに改めて入学することにしました。

 

このように、仮面浪人は大学の授業や試験と並行して受験勉強を続けなければいけません。受験勉強と大学での勉強、どちらにも力を注がなくてはいけないという中途半端さがあるためか、仮面浪人の合格率は低いといわれています。

しかし、予備校だけに通っている浪人生との比較では、それぞれの合格率にあまり差はないようです。これは、進学した大学での生活が受験勉強の時間を奪われることが不合格の理由ではないという証明でもあります。仮面浪人生にしても普通の浪人生にしても、すべては本人のやる気次第なのかもしれません。

社会人経験を経て「医学部学士編入制度」で医学部を目指した再受験生のケース

実家が代々医師の家系で、自分も医者になるよう小さいころから教育されてきたBさん。兄弟も医学系に進むなか、親に反抗し経済学部に入学しました。卒業後は外資系商社に就職、グローバルな職場にやりがいを感じていました。Bさんは医療機器の輸入・販売担当で、仕事上、多くの医師と出会い、医療業界におけるさまざまな話題に触れる機会を持つことができました。自らも医師家系なので話が合い、その交流が売上げにもつながっていきました。

頻繁に医師たちの話題にのぼっていたのが、地方医療機関の医師不足でした。Bさんはもともと医師志望ではありませんでしたが、子供のころから医師として社会貢献する親の姿は見ていたので、医師という仕事に憧れを抱いていたのは事実です。医師不足の話を聞いて、「自分が医師として役に立つことはできないだろうか」と考えるようになり、30代を前に、医学部受験のため予備校に通いはじめました。

翌年春、医学部入試にチャレンジしましたが、理系科目で点数が取れず不合格。その後、社会人を対象とした「医学部学士編入学制度」を知り、受験対策を筆記試験の対象科目と面接に切り替えました。

一次試験は対策が万全でしたので楽勝でした。二次の面接試験は、なぜ医師を目指すのかという質問に対し、家が代々医師家系、親や兄弟も現役医療関係者であることを語りました。そして今の仕事で多くの医療関係者と交流し、地域医療の医師不足という課題を知ったことに触れ、「自分が役に立てる方法はなにかを考えたときに、医師を志望する気持ちが湧いてきました」と熱弁しました。これが面接官に好印象だったようで、受験チャレンジ2年目にして医学部合格を果たすことができたのです。

 

倍率、学費ともに高く、大学から大学院まで最短6年間の長い修学期間があるにもかかわらず、Bさんのように医学部にチャレンジする社会人が増えています。年齢も20代~40代、なかには50代の受験生もいます。4年制大学卒で社会人経験がある人は、「医学部学士編入制度」を利用して受験する人も多いようです。

現役生が中心となる一般入試の倍率は20~50倍ですが、学士編入試験の倍率は10~20倍程度です。いずれにしても高倍率ではありますが、一般入試から考えれば、学士編入試験はそれほどでもないという印象です。また、学士編入試験は試験日程が集中していないので、1年間に複数の医学部を受験できることもメリットです。

どのような立場の人にも医学部への道はある

仮面浪人は、社会人の再受験同様にハードな学習スケジュールが要求されますが、強い意志を持って進めば医学部合格も不可能ではありません。前年度までの学習ベースがありますし、頭が柔らかく、最新の出題傾向も理解しているので、社会人受験生より有利といえるでしょう。

一方、社会人の医学部受験は年齢的に不利なのではないかと思われがちですが、再受験生Bさんのように、医師を目指すきっかけや、医療業界が抱える問題に立ち向かいたいなど目的が明確であれば、年齢に関係なく門戸は開かれます。加えてビジネスで培ってきたアピール力、話術、交渉力も、面接官を納得させる裏付けになっています。立場・環境はそれぞれ違いますが、自らが持つ優位性を十二分に生かして、次回の入試に挑んでいただきたいと思います。

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