医学部受験コラム MEDICAL COLUMN

受験動向

医学部受験「定員数」が減少傾向…2022年より前に、「絶対合格」すべきワケ

2019.12.29

亀井 孝祥
医学部受験予備校メディカ代表

2008年からの13年間、医学部の入学定員数は増加の一途をたどっていました。しかし近年、状況が一変。日本は「医師過剰の時代」へ突入し、医学部受験が難化する兆しも見え始めました。

まもなく、2020年度入試が始まります。定員数の減少がどんな影響を及ぼすのか。今知るべき情報をまとめました。

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なぜ医学部の増員が続いてきたのか?

文部科学省は、令和2年度の国公私立大81校の医学部総定員を「9330人」とする計画を発表しました。これは、前年度の定員である9420人から90人も減少する計算になります。2020年度の地域枠については、一部増加も確認されていますが、その分を差し引いても64人の減少です。

各大学の医学部募集人数では、国公立大13校、私立大10校の合計23校が定員減となり、そのなかでもとくに減少幅が大きかったのは、前年度比19人減の116人となった東北大、15人減の105人となった山形大、12人減の105人となった旭川医科大、8人減の107人となった近畿大など。定員増は、3人増員で120人の鹿児島大、5人増員で126人となった日本医科大、同じく5人増員で127人となった関西医科大のわずか3校に留まっています。

厚生労働省と文科省の説明によると、定員減となったのにはいくつか要因があります。まず1つ目は、都道府県が地元の医師不足解消のために設けた「地域枠入試」制度の崩壊。卒業後は地元の医療機関で勤務することを条件に奨学金を貸与する制度ですが、この募集で定員割れが続いたため、2020年度は募集・増員を希望する自治体が少なかったのです。2つ目は、地方自治体側が各大学の医学部に対し地域枠募集の連携を希望したものの、受け入れる大学側が承諾しなかったこと。そして3つ目は、各大学が地域枠で埋まらなかった定員分を「一般枠」に振り替えていたこと。

さらに、過去11年間の地域枠の募集で合計約2600人分の定員割れがあったことも判明しました。それらの状況を踏まえ、文科省は医学部の定員見直しに踏み切ったのです。

ちなみに、昔の医学部はもっと狭き門で、2007年度の入学定員は7500人余りでした。当時の医学部定員は政府の閣議決定により毎年7600人程度という上限が設けられており、現在より2割も少なかったのです。そこからこの10年あまり、なぜ増員し続けたのか、気になるところです。

2000年代前半、各病院が医師不足に陥ったため、救急搬送の患者を受け入れられるキャパシティがなく、「救急車たらいまわし」問題が多発していました。複数の医療機関から受入れ拒否された患者が死亡するような事態も発生し、医師不足は社会問題として大きく取り上げられるようになりました。この問題を重く受け止め、政府は2006年に「新医師確保総合対策」、2007年に「緊急医師確保対策」を立ち上げ、その一環として各大学医学部の定員増員を決定しました。

具体的には、2008年度より、入学定員を168人増の7793人に引き上げたのです。その後、年々増員が続きましたが、この政策は暫定10年間のもので、2018年度で終了する計画でした。2019年度は東京医科大の裏口入学事件が発端となった「不正入試問題」という突発的トピックに見舞われ、定員減の話題はあまり取り上げられませんでしたが、2020年度以降はこれが医学界のメインテーマとなってきます。

医学部受験生にまもなく訪れる「2022年問題」の脅威

2019年春、厚労省担当者と医療・医学部関係者らが参加する「医療従事者の需給に関する検討会」の医師需給分科会が開かれました。そこでは、2020年度と2021年度の医学部の入学定員について、そして2022年度以降の医学部定員について話し合われました。

直近の2020年度と2021年度については、「現状定員数をおおむね維持する」ことになりました。本来2020年度から大幅定員減に向かう予定でしたが、2018年度調査の結果公表が2019年末になり、2020年度の受験対策に間に合わないため、受験生に配慮してこの措置が取られたのです。2022年度以降については、「医学部定員は減らす方向」で提案が出され、参加した医学部関係者らも、おおむねこの案を支持しています。

なぜ医学部定員を減らさなければならないのか。その根拠として、厚労省は今後の医師の需給推計を掲げています。

医師の労働時間を週60時間程度とした場合、2028年頃には医師数約35万人で需給が均衡、もしくは週55時間程度の労働なら、2033年頃には、医師数約36万人で需給が均衡するというものです。すなわち、2020年度の医学部入学者が臨床研修を修了する2028年頃に医師数が充足し、それ以降は医師過剰の時代に突入するという推測です。

参加者からは、「医学部定員だけでなく、医学部の卒業試験、医師国家試験の段階のほか、専門医定数によっても医師数の調整が可能と思われるので、医学部定員は一定数確保してほしい」などの要望が挙がりました。将来、医師の需要が減少していくことは間違いないと理解しているものの、定員減で学生が減るということは、大学にとって死活問題です。

また、日本は高齢化が進んでいるため医療需要が増えるという見方もありますが、65歳以上の高齢者数は2040年頃をピークに減少の一途をたどる推計です。

「地域枠」の本来あるべき姿

前述のとおり、最短で2028年に均衡するという医師数推計があり、医師過剰問題の解消に向かって議論が重ねられているようですが、その一方で地方の医師不足問題は何ら解決されていません。地域枠をうまく利用して医学部に入り、卒業後9年間の地方勤務を果たさず都会へ戻る新人医師、地域枠の不足定員を都合よく一般枠に振り替える大学…本来の目的とはかけ離れています。地域枠入試を残していく手段はないものでしょうか。

何より、全国各地で起きている震災や水害などの災害現場で働く医師を見て、「自分も困っている人の助けになりたい」という純粋な気持ちで、地方医療への貢献を望む志願者もいます。そういう人たちがチャレンジしやすい地域枠であってほしいと思います。

この数年のうちに、医学部の定員数が減少していくことは目に見えて明らかです。勉強がもちろん第一ですが、定員数の増減も意識して、絶対に合格できる大学を選びましょう。

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