医学部受験コラム MEDICAL COLUMN

受験対策

偏差値上昇の鍵は「復習」にあり!コスパ最強の勉強法を紹介

2020.02.27

亀井 孝祥
医学部受験予備校メディカ代表

新たな受験シーズンがはじまります。今回残念な結果だった浪人生のみなさん、がっかりしているヒマはありません。次回の受験に向かって気合を入れましょう。

浪人生だからといって、現役生に負い目を感じる必要はありません。実は、浪人生ならではのメリットもたくさんあります。とくに教材費用や勉強に費やす時間のコスト面で最強のパフォーマンスを発揮できるのが浪人生です。一度受験を経験したキャリアとしての落ち着きと余裕を持って、この年を乗り切りましょう。

 

●コスパ重視の受験対策① 現役時代の教材をそのまま使おう

次回受験でのリベンジを誓い、勢い余って新しい参考書や問題集を買い漁る…もしかして、「不合格ストレス」の解消行為ではありませんか?

現役時代に使っていた教材をもう一度学習することも大変効果的ですし、いわずもがなコストパーフォーマンスも高いです。例年、最新の出題傾向を反映した教材が発行されていますが、基本的な部分は毎年ほぼ一緒です。最新版でなくとも、参考書や問題集を繰り返し学ぶだけでも十分に実力がつきます。これまで使っていた教材の内容がすべて身についているのなら新しいものを買っても良いのですが、そうでなければ改めて読み返し、しっかりマスターすることが必要です。

これまで持っていた問題集を解いてみてまだ間違えるようなことがあれば、まだその教材が自分の身についていないということです。参考書の文章や問題文が暗唱できるくらいになるまで、何度も読み、何度も解いてみましょう。

●コスパ重視の受験対策② オリジナルの「苦手問題集」をつくろう

現役生と違い、浪人生はすでに学習の基礎ができているので、問題演習に多くの時間をあてることができます。これは「浪人生の強み」ともいえますね。

着実に自分の学力を志望校レベルまで高めるために、まずは前回の試験問題の克服からはじめましょう。何度解いても間違えてしまうような問題は、別紙に書き写して何回も解くようにしましょう。さらに過去の試験問題も、同じように間違えやすい問題を別紙に書き写してまとめれば、自分オリジナルの「苦手問題集」ができあがります。

これは市販の問題集でもかなわない最強の教材です。そして、自分にとっての難問を一つひとつ、定期的に繰り返し解いていけば、しっかりと自分の知識として身についてきます。この苦手問題集がクリアできるまで、新しい問題集を買いあさるのは控えましょう。問題の文頭を見ただけで答えがひらめくくらいになったら、新しい教材の買い時です。

●コスパ重視の受験対策③ 時間制限を設けよう

苦手問題の克服といっても、根本的な理解ができていなければ、正解にたどり着くまでに時間がかかってしまいます。そこで、ある程度の時間制限を設けてみるのもひとつの方法です。解けない問題にいつまでも執着するのはまさにコスパが悪いです。

10分考えても解き方がわからなければ、ギブアップして巻末の解答を見てしまいましょう。解説を読むことで理解が深まりますから、それを何度も繰り返せば、いずれ身につき、簡単に解けるようになります。

●専門家から学ぶ「反復学習法」

どうしても理解できない苦手な分野は、テキストを丸暗記することでも解決できるかもしれません。しかし、それでは膨大な情報量を記憶しなければならず、どんなに優秀な人でも脳の記憶量には限界があるため、いずれパンクしてしまいます。

人の記憶は、その8割が1週間から1ヵ月の間に消えてしまうといわれますが、同じ記憶を何度も繰り返すことで、その記憶が脳に「定着」するそうです。

その原理を応用したのが「反復学習法」です。参考書を何度も読み返す、問題集を何度も解く反復学習は大変効果的です。多くの先輩方がこの反復学習法を実践して合格を勝ち取っています。「具体的には何度繰り返せば身につくの?」という質問もありますが、基本的には「身につくまで」という答えです。「それでは途方に暮れてしまう」という受験生のために、より具体的な方法論を唱えている専門家の方たちの見解をまとめてみました。

・7回読み勉強法

ニューヨーク州弁護士資格を持つ山口真由氏が推奨するのは「7回読み勉強法」です。参考書を深く読むのではなく、薄くサラサラ読むことを7回程度繰り返すことで、記憶が定着します。見出しや重要キーワード、そのキーワードを解説する文章など、読み返すたびに注視して読む箇所を変えていくことがポイントです。

・7回繰り返し暗記術

ハーバード大学・東京大学卒の本山勝寛氏も、「7回」の繰り返し暗記を勧めています。1年後の入試に向けて、最初の6ヵ月で1回目の暗記、2ヵ月で2回目、次の1ヵ月で3回目、というように、1年間で7回の暗記作業を繰り返す学習計画を立てます。人間の脳は忘れるようにできているものなので、そこは割り切って考え、何度も薄く塗り重ねていくように反復していくことで記憶の定着を進めていきます。

・高速大量回転法

記憶術と速読を研究し、独自の勉強法を確立した宇都出雅巳氏は、「脳の学習原理は繰り返しが原則である」として、「高速大量回転法」という学習法を提唱しています。まず目次を繰り返し読み、次にまえがきとあとがき、さらに見出しを中心に本文を読み進めることを高速で繰り返す(回転させる)方法です。内容がよく分からないと感じたら、すぐに見出しや目次に戻るのがポイントです。

・レバレッジ記憶法

レバレッジコンサルティング株式会社の代表取締役社長・本田直之氏は、「1冊の参考書を必ず3回繰り返し読む」というレバレッジ記憶法を提唱しています。まず参考書を「目を通す」程度に通読し、内容がわからないところに線を引きます。さらに通読し、またわからないところがあれば1回目と違う色で線を引きます。二色の線が引かれているところは自分が覚えにくいところなので、そこを重点的に速いスピードで読み返して頭に叩き込む方法です。

・復習4回記憶法

脳研究者であり東京大学で薬理学の教授もしている池谷裕二氏は、復習で確実に記憶する学習方法を提唱しています。学習した翌日に1回、その1週間後に2回目、さらに2週間後に3回目、さらに1ヵ月後に4回目というように、4回の復習をすることで効率的な学習が可能になります。池谷氏いわく、「記憶というのは最初が一番大変」だそうですが、「ある一定のレベルに達すると、いろいろな知識と連合して覚えやすくなる」ということです。

●まとめ

脳の記憶容量には限りがあるため、すべてを覚えておくことは不可能です。古いものから順に消去されていきますが、生きるために必要な記憶は残されます。反復学習とはこの仕組みを利用したもので、「食べる」「寝る」のような日常の作業と同じように暗記のルーティンを繰り返すことで、学習の記憶を脳に「生きるために必要なもの」と勘違いさせ、定着させる方法なのです。すなわち反復学習は、自分の脳を「騙す」学習法といえるでしょう。人間の脳の特性を逆手に取った反復学習法は、受験勉強にとても有効であることが理解していただけたと思います。

どんなに優秀なスポーツ選手も、繰り返し練習をしなければ良い成績を継続できないのと同様に、学習においてもまた、繰り返し勉強しなければ学力は上がりません。「同じことを繰り返して何の意味があるのか?」「何度繰り返せば成果が出るのか?」など疑問を持たず、馬車馬のごとく突き進むことも必要です。努力は必ず報われます。

 

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